Kiss of a shock ~涙と~
玄関には彼の革靴と、女物のヒールが転がっている。


「…また。」


ため息混じりに呟いて、奥の部屋を見遣った。


彼は、誰も必要としない。


ある意味では究極の紳士で、究極の非道。


優しさなんかない。


愛情なんかない。


誰のことも、愛したりしない。


リビングに続く扉を開けると、女の鳴き声が聞こえた。


見ると、リビングのソファーの上で2人とも服を着たまままぐわっている。
< 130 / 347 >

この作品をシェア

pagetop