Kiss of a shock ~涙と~
「そうねぇ。」


陣内はそう呟いて、含み笑った。


「それを私から言うのも何だし、直接本人に聞けばいいんじゃない?」


直接・・・?


健二の周りで女の人の噂は絶えないし、よくない話も聞く。


そんな人が、ちょっかいを出してきているってだけでも困惑なのに


直接、「私のどこがそう気になるんですか?」と聞けと?


「できないですよ、そんなの。だって、「別に」とか「好きだとでも言って欲しい?」とかそんなふうに言われたら、やっぱり傷つくし・・・。」


そう言って、頭を掻いた。


ん?


まるで、健二のことを好きなのかのような発言にとられないだろうか。


そう思って慌てて次いで言った。


「違いますよ、あの、健二くんのことを好きだからとか、そういうんじゃなくて・・・。」


くす


ぎくっとして、万理香は思わず携帯を耳から外した。
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