Kiss of a shock ~涙と~
健二の声が鋭くなって、万理香は僅かに身じろいだ。


「君も知っているだろ?ご両親がどんな思いで亡くなったのか。」


「健二くん!・・・やめて。」


「君を育ててくれた社長さんに、どうすることが一番の恩返しになるのか、聡明な君なら理解できるはずだ。」


万理香は青褪めて、声を震わせた。


「・・・社長は・・・。」


「ああ、そんなこと気にしなくて良いって言ってるって?」


くすっ


健二が笑って続ける。


「そんなわけないだろ?それこそ社交辞令に過ぎない。君を助けるために、君を育てるためにかけた費用と、会社を存続させるために必要な費用、それを手に入れてくれるなら、君なんかどうだってかまわないと思っているさ。」
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