Kiss of a shock ~涙と~
社長は、そんな人じゃない。


父と懇意だったという理由だけで、私を引き取って育ててくれた、優しい人だもの。


そう言いたいのに、言葉が出て来ない。


人間の恐ろしさは知ってる。


絶対に、優しい人、なんかこの世にはいないってことも。


健二が何かを知っているのだと・・・だから、気がついた。


「社長・・・から・・・?」


オズオズと問いかけると、健二はため息交じりに答えた。


「君を傷つけたくはないから黙ってたけど・・・。」


・・・


「万理香ちゃんを俺にくれるってさ。その代わりに会社に融資する。もう契約済みだよ。」
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