Kiss of a shock ~涙と~
窓ガラスが開いて、直人はやはりそれがあの女だと確信した。


女が何か言う前に、牙を剥くように怒鳴った。


「馬鹿やろう!」


万理香はビクリと身を竦めた。


けど、それがバカなことを考えるなと、言われたようで…また涙が溢れた。


あ…泣かせちまった。


くそ…


見れば万理香の肩に男の手がある。


車の中を覗いて、言った。


「おい、キー外せよ。」


暗い影がさす男の口元が僅かに緩んだ。


「おい…。」
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