Kiss of a shock ~涙と~
健二は微笑んで万理香の肩を引き寄せた。


あっ


と、万理香が嫌がるのもかまわず、あっという間にその唇を塞ぐ。


窓の向こうから、男が手を伸ばして万理香の身体を引き剥がした。


「う…助け…」


万理香は泣きながらドアをガチャガチャと鳴らした。


だが鍵は開かない。


「てめぇ、開けろよ!」


健二は微笑み言った。


「貧乏人が、何を偉そうに…。」


鍵が開かなければ、お前には何もできない。


「お前は無力なんだよ。」


直人はチッと舌打ちし、言った。


「無力…ね…。」
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