Kiss of a shock ~涙と~
消せない記憶。


封じようとしていた記憶。


やるせなさとはがゆさに心が締め付けられる。


笑うな


愉しむな


生きているだけで、オマエの存在は罪なのだから―。


直人は頭を抱えて俯いた。


「あの・・・。」


その声にハッとして顔を上げる。


湯上りの女が用意した服を着て立っている。


何も答えないまま、テーブルの上のシガレットケースに手を伸ばした。


「あ、ありがとうございます。これ・・・。」


女は服を見遣り言った。


「あの・・・?」
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