Kiss of a shock ~涙と~
男の人が使っているベッドにしては綺麗にしてある。


オズオズと、直人を見上げると、直人は煙草を手に持った携帯灰皿に押し込みながら言った。


「一緒に寝るか?」


そういう冗談を真顔で言うから、万理香は余計に紅くなり結構ですと叫ぶとベッドにもぐりこんだ。


あ、いい匂い・・・。


何だろう、ラベンダー?


「男の人なのに、アロマなんかしてるんですね。」


ベッドサイドにアロマライトとオイルがあるのを見つけて思わず言うと、直人はぶっきらぼうに答えた。


「悪い?」


「いえ、全然。私、ラベンダースキです。」


「そう、んじゃおやすみ。あ、何か寝る前に食う?」


そういえば―、おなかも減ったし、喉も渇いた。


って言うのも失礼だよね。


こうして、見ず知らずの女に親切にしてくれるだけで、十分です。


「いえ、大丈夫です。おやすみなさい。」


そう言っていい香りのする枕に頭を沈めた。
< 199 / 347 >

この作品をシェア

pagetop