Kiss of a shock ~涙と~
立ち上がり、指し示された洗面所へと向かう。


ギシギシと床が鳴り、やっぱり築何年なんだろうとかと考えてしまう自分がいた。


こんな大きな戸建てに一人暮らしなんだろうか。


他に、住人の気配はないから、そうなんだろうな・・・。


何歳だろう。


どんな仕事をしてるんだろう。


万理香よりも少し年上だろう。


健二とはどんな関係なんだろう。


知り合いって感じだったけど・・・。


色んなことを考えながら、鏡に映った自分を見て、はわわと声を上げた。


頭、ぼさぼさ!


そうなんだよ、髪の毛にコシがないから寝起きはいっつもこうなるの!


やだぁ、この髪を見られたわけ?


手を濡らして髪を指で梳かしてそれから顔を洗った。


恐らく、こっちがリビングだろう―。


そう思いつつ直人が去っていった方向へと向かう。


さっきの部屋にしてみても・・・使ってる部屋しか整えてないみたいだ。


通り過ぎていく廊下に隣接する部屋の数々は、どれも長く放置されている様子が窺える。


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