Kiss of a shock ~涙と~
そのうち、いい香りが漂い始めた。


ああ、ご飯作ってくれてるって言ってたもんね。


男の人のおうちでご飯とか・・・しかも朝ごはんとかはじめての体験だ。


えっと、しかもあの人が作ってくれたってことだもんね?


ご飯とか作れそうな雰囲気じゃなかったけど、作れるんだ。


びっくり。


「ああ、こっち。」


ふいと顔を覗かせた直人が言った。


「はいっ」


そう答えて、小走りに後を追った。


テーブルの上には、もうすでに朝食の準備がされていた。


目玉焼きとベーコン、それからオレンジジュース、よく焼けた食パン。


よく考えると、お腹が減ってたんだった。


ふらふらと朝食に近付いていく。


「どうぞ。」


椅子に腰を下ろして、いただきますもそこそこにバターの塗られたパンにかぶりついた。
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