Kiss of a shock ~涙と~
あれは18年前。


健二はまだ5歳だった。


多忙の父には、あまり逢うことはできず、ほとんどの時間を祖父の家で過ごして育った。


母は、派手な女であったが子供の目から見ても美しく、どんな女よりも勝る自慢の母であった。


そして、もう一人・・・。


健二にとって、自慢の人がいた。


それは、健二より4つ年上の兄である。


名は直人。


スポーツは万能、勉学はでき、優しく頼りになる。


直人は弟思いで、良き兄だった。


健二はよく直人と虫取りや川原へ遊びに行ったものだ。


大好きな兄。


あの頃は、ずっと、このまま幸せな時間が流れるものだと、そう、思っていた。


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