Kiss of a shock ~涙と~
「・・・からかわないでください。」


「そうだね、さて、それで、って話。」


「・・はい。」


健二は煙草に火をつけると、ふかしながら続けた。


「俺、あいつに万理香ちゃんをやるつもりはないからね。」


そうなんだろう。


こんな経緯があるなら、あの人が喜ぶようなことをするわけがない。


「あいつが、どうして万理香ちゃんと知り合ったのかなんて、興味もないけど、あいつが欲しがってるもの、ってんなら、俄然、興味がわいちゃった。」


・・・


陣内は、何も答えないまま珈琲カップを手に持った。


「あいつが、手に入れた後に、奪ってズタズタにするのと、あいつが、手に入れる前に、奪ってズタズタにするのと、どっちが良いだろうね。」


そう言って、まるで子供のように微笑む。


「陣内はどう思う?」


・・・


カップをテーブルに置いて、陣内はふっと顔を上げて答えた。
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