Kiss of a shock ~涙と~
「あの様子じゃ、彼女、処女でしょ?」


「ああ、だろうねぇ。」


「彼、女には不自由するタイプの顔には見えなかったから処女かどうか、なんて彼にとっては関係ないんじゃないかしら。」


「なるほど・・・で?」


「だったら、ふたりが相思相愛になった後に、引き裂く方が、痛手になると思うわ。」


健二は、ふふっと笑って言った。


「さすが、俺の秘書だね。」


まだ火の付いた煙草を灰皿に押し付ると立ち上がり、陣内の身体を抱き上げて歩き出した。


「そうしよう、少し時間をやって、万理香ちゃんが処女じゃなくなったら、奪って・・・ボロボロにしてやる。」


痛々しいくらいの澱んだ感情が見えて、陣内は健二の腕の中で少し震えた。


ドサリとベッドに陣内を横たわらせると、やおら覆いかぶさって言う。


「自分の愛した女が、ゴミくずみたいになったら、あいつ傷つくだろうね。」


くっくっと笑うと、陣内の首筋に口付けた。


「健二・・・さん・・・。」


その冷たくなった手が陣内の頬を包む。


「すっげぇ滾る・・・は・・・。」


彼の歪んだ心は、もう元には戻らないのだろう。


乳房を露にし、唇を落としてくる彼を受け入れながらその髪を撫でて囁いた。


「愛してる。」


あなたが、私を―愛していなくても・・・。
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