Kiss of a shock ~涙と~
健二と一緒に思い出をつくるほどに、自分の心が蝕まれているような気がしてた。


だから、本当は―。


「分かってた・・。」


知っていたんだ、こんな日がいつか来るってことを。


健二は、俺を恨んで、憎んで、呪って―、そして生きていく。


そんなふうに―、あいつを変えたのは俺なんだ。


俺は悪魔だ。


悪魔―なんだ。。。


だったら、もう二度と・・・逢わない。


あいつの前に姿は見せない。


そうすることが、ただひとつ、あいつに対しての償いになるから―。


直人は自嘲するように、切なげに微笑んで顔を上げた。


「あいつと、俺とでは、住む世界が違うんだ・・・。」


分かってたことだけど―。


じいちゃんは、首を振って、いいやと呟いた。


けど、じいちゃんだって分かってるはずだ。


子供の俺たちよりも、よっぽど―分かってるはずだ。


「じいちゃん、ありがとな。」


直人は微笑んで続けた。


「こんな俺を、育ててくれて・・・ありがと。」

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