Kiss of a shock ~涙と~
「お前は―わしの孫だ。健二も、お前も、同じだよ。」


じいちゃんが、泣き出しそうな顔でそう言うから、俺は唇を噛んで目を伏せた。


もう、もういい。


もう、いいんだ。


俺を縛るものは、もう何もなくなった。


そうだよ。もう、この命さえも、自由なんだ。


手を包むじいちゃんの手は暖かい。


俺のことも、健二のことも、分別なく同じように可愛がってくれたのは、じいちゃんだけだ。


「健二には、・・・何も言わなくていいよ。」


俺は呟いて、顔を上げた。


涙が溢れていると、気がついていたけれど、じいちゃんの泣き顔を見ると、何だか落ち着けた。


「俺は、悪魔のままで良い。」


悪魔のままで―。
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