Kiss of a shock ~涙と~
「何で、泣くんだ・・・」


直人は呟いて、駆け出しそうになる足に力を込めた。


だめだ。


どうする気だ・・・・?


問う必要もない。


健二が、万理香を欲しているなら―。


それなら、俺は・・・。


再び背を向けて、歩き出す。


万理香はダメだ。


あいつだけはだめだ。


また、健二が万理香を誘うことがあるなら、今度はあいつを助けることはできない。


だから、もう忘れるんだ。


どこでも良い。


「あいつ」を忘れることができる場所へ―行こう。
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