Kiss of a shock ~涙と~
駆け寄ってくる泣き顔の女に、直人は思わず身じろいだ。


すぐさまかぶりを振って、自分の中に壁を作る。


いいや


この女を受け入れることだけは絶対にできない。。。


「どうして、逃げるんですか・・・。」


逃げる・・・?


その言葉に背けた顔を女に・・・万理香に向けた。


涙ぐんで、眉間に濃く皺を刻んだ万理香は、唇を震えさせて続けた。


「私のこと、・・・どう思ってるんですか?」


「・・・」


どう、思ってるのか―、なんて・・・。


直人は目線を伏せて、髪をかき上げた。


「私・・・あなたが好きです・・・。」


その言葉に、胸が疼く。


知らぬ間に、直人もこの女に惹かれていたのかと、そう思わざるおえないだろう。


思わず嘲笑して、直人は顔を上げた。

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