Kiss of a shock ~涙と~
「・・・好き、ね。」


直人はそう呟くように言って、万理香ににじり寄る。


万理香は、その目線の鋭さに、思わず後ずさった。


圧倒されそうな、感覚―。


なんだろう・・・?


万理香は、ぐっとこぶしを握り締めて言った。


「はい、私は直人さんのことが好きです。」


もう一度繰り返すと、直人はくっと喉を鳴らした。


「へぇ?」


まるで、馬鹿にしたような、そんな声で言うと冷たい眼差しを万理香に返した。


「あんたが、俺を・・・?俺の何を好きになったっていうんだ?」


「何って・・・。」


万理香は呟いて、直人を見つめた。


嫌悪感―、万理香を跳ね除けようとする圧迫感、それが溢れてくる。


「っ、優しいところです。そっけないのは、そっけないけど、何度も助けてくれて・・・、それに、紳士です!」


あ、でも―、はじめて逢った時に・・・キス、されたっけ・・・。


そう思って言い直す。

「紳士、って・・・いうのとは、ちょっと違うかもしれないけど・・・直人さんは、私にどこか、似てるような気がするんです。」
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