Kiss of a shock ~涙と~
どうして―


万理香は、直人に抱え上げられたまま、紡げない言葉を飲み込むように唇を手の甲で擦った。


こんなキス・・・嬉しくない。


全然、嬉しくないよ・・・!


直人はくすっと微笑して、万理香の唇に再び唇を近づけると、囁いた。


「お望みなら、最後までしてやるけど?」


万理香は、さっと顔を背けた。


「・・・っ」


酷いよ・・・。


まるで、自分のことを嫌いにさせようとしているみたいだ。


「どうした、お嬢さん、俺のこと、好きなんだろ?」


・・・


万理香は、直人に視線を戻し、その肩を掴んだ。


「直人さんは・・・ズルイです。」


「ズルイ?俺が?何で?」


そう言って微笑する。


「何も・・・何も説明せずに、私に決めさせようとするから。」


直人は、苦笑して言った。


「へぇ?」


「私は、っ直人さんのことが好き・・・、直人さんは?」


万理香は、こくりと生唾を飲んで続けた。


「直人さんの気持ちを、教えてください。」
< 245 / 347 >

この作品をシェア

pagetop