Kiss of a shock ~涙と~
第10章 「棘の冠」
気がついたら、家にいた。


いつの間に、どこをどうやって、帰ってきたのか何も覚えていない。


びっくりするくらい―、頭の中が真っ白になった。


こんな大失恋―、生まれてはじめてかもしれない。


というよりも・・・誰かの事を、こんなに好きになった事自体が、生まれてはじめてで・・・。


はじめてのことばかり・・・だった。


唇をなぞって、その冷たさにひやりとする。


どれだけ泣いても、涙が枯れることはないみたいだ。


ぼろぼろと大粒の涙が頬を伝って落ちていく。


はじめて逢ったあの時から、きっとあの人に恋していた。


運命というものが、存在するなら、きっとめぐり合う運命だったんだって―。


パパとママが、めぐり合わせてくれたんだって―、そう、思った。


のに・・・。
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