Kiss of a shock ~涙と~
直人は、ふっとかみ殺すような笑みを浮かべて陣内を見遣った。


「・・・秘書ってのは、もっと静かなもんじゃないのか?」


「今は勤務時間外だから。」


そう言って微笑み返す。


「あなたも、彼もどうかしてる。あんな子供のどこがそんなにイイの?」


・・・


「その目、いいわね。」


射すような瞳は、冷たさに鋭さが篭る。


健二と同じ。


殺意さえも見えるような・・・そんな瞳。


「ぞくぞくしちゃう。」


直人は、ふいと視線を逸らして立ち上がった。


「あら・・・。」


陣内は追って立ち上がり、お金を支払って店を出た。


「待ってよ、怒っちゃった?」


直人の肩に手を置くと、同時に直人が振り返った。


それと、同時に頬をぐっと掴まれる。


陣内は唇を突き出す形で、体を引き寄せられた。
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