Kiss of a shock ~涙と~
目の前には高層マンション。


ここの最上階に彼の部屋はあるらしい。


さすが、お金持ちのご子息様。


今の私は、完璧。


健二くんの偽りの優しさに、少しでも自分がお人好しにならないように、上手に悪態だってついてみせる。


とにかく、お礼を言って手土産を渡して、早々に帰還しよう。


あの人の面影を見つけて胸が痛み出す前に―。


ピンポーン


インターホンを鳴らして暫くの沈黙。


出ないな・・・


もう一度鳴らす。


それでも出ない。


何だ・・・留守・・・?


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