Kiss of a shock ~涙と~
せっかく来たのに、拍子抜けもいいとこ・・・


肩を落として、扉に背を向けた。


「あら?」


と、その目の前に見たことのある顔の女の人が立っている。


万理香は驚いて、一歩下がった。


「どこのお嬢さんかと思ったら、万理香ちゃんじゃない。」


「・・・陣内さん・・・。」


「どうも、お久しぶり。健二さんにご用?」


陣内は微笑んでかばんの中から鍵を取り出した。


何と言えばいいだろうか。。


考えて、はっと手の中にあるケーキの入った袋のことを思い出した。


「あの、これ!」


すっと差し出して続ける。


「健二さんに、渡していただけますか?」


陣内はそれに視線を落として言った。


「元気になったのね。」
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