Kiss of a shock ~涙と~
けど、「はいじゃあおじゃまします」って言うほど、馬鹿じゃない。


万理香は、きりりと陣内を見据えてケーキを突き出し言った。


「いえ、ここで失礼します。これ、渡しておいてください。」


大体、人に交際を申し出といて、秘書と暮らしてるってどうなの?


聞いていた通り、女の人関係はだらしないみたいね!


吐き出したい毒を飲み込んで微笑む陣内にもう一度言う。


「あと、ありがとうって伝えておいてください、一応、お世話になったみたいなんで。」


「ふふ、警戒心バリバリ。」


万理香はカアッと頬に熱がこもるのを覚えた。


陣内は余裕綽々という態度で、ゆっくりと手を差し出した。


その手に紙袋を押し付けて、「じゃあ失礼します!」言うとくるりと背を向けた。
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