Kiss of a shock ~涙と~
気がつくと・・・


直人さんの家の前にいた。


家の近くなんて言ったって、どうして私はこうなんだろう。


本当に馬鹿なのかもしれない。


家の中の様子を窺って、彼の気配がないことに、安堵しているのか・・・それともがっかりしているのか。


自分の気持ちも分からないまま、暫く時間も忘れてボンヤリ見上げて、それからゆっくりと歩き出す。


逢いたい・・・な。


逢いたい。


声に出して言ったら、気持ちがあふれ出してしまいそうだから・・・


言わない。


忘れたい。


忘れてしまいたい―。
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