Kiss of a shock ~涙と~
直人さん直人さん直人さん直人さん


頭の中で、何度彼の名を呼んだだろう。


どこにいるのかも分からない。


私のことを、拒んだ彼が、再び私の前に現れて私を助けてくれるのではないかと―。


愚かな私は、浅はかな夢を、まだ見ていた。


男の手が私の身体をまさぐり、私は、名前も知らない男の腕の中で泣いている。


胸も唇も―、触れられるのならば、彼が良かった。


あの人の、強引で、けど、どこか優しくて・・・甘いキス。


煙草の香りがする、大人のキス。


直人さん、


直人さん・・・・


もう、もう・・・だめ。
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