Kiss of a shock ~涙と~
いつものことだけど


なんだって、彼女にはすんでのところでこうも救世主が現れてくれるのだろうか。


陣内は、ため息交じりに咥えていた煙草を携帯灰皿に押し付けた。


酷い目に合わしてやりたいのに、結局うまくいかない。


それとも、これこそ日頃の行いってやつなのかしら?


それにしても―


直人や健二とはまた違って狼・・・ううん、それよりも野獣系の男は、まぁ腕利きとまではいかなかったけどそれなりに強者のはずの男たちを簡単にのしてしまった。


あれは・・・誰?


ただの通りすがりの親切な男、なのかしら?


だとしたら、本当に小さな親切大きなお世話ってやつ。


軽く、傷物になった万理香ちゃんを健二さんが癒して、また裏切って傷つけて・・・って計画が台無しじゃない。


練り直さなくちゃ。


「大丈夫か?」


男が腕まくりした袖を直しながら介抱している連れの女に声をかける。


女連れか・・・。


女は小さく頷いた。


服は破れて、頬は腫れて、唇からは血が顎まで伝っている。


正直言って・・・悪くない。
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