Kiss of a shock ~涙と~
第12章 「背中」
サァァァ


頭上から降り注ぐ水音に、ようやく正気に戻った。


ズキン


「いたっ・・・」


同時に頬が、身体が鞭打ちにあったように痛んで小さく声を上げる。


何・・・?


どうして・・・


記憶がはっきりとしなくて、曇った鏡に映る自分の姿を見つめた。


どうして、私、お風呂に入ってるの?


何で・・・、いつ、家に戻ったんだったっけ・・・?


仕事が終わって、いつも通り、直人さんの家の前を通って・・・そして・・・


それから・・・


ズキンっ


「つっ・・・!」


身体と頭に激痛がはしって、万理香は身をかがめた。


トントン


と、同時にお風呂のドアを誰かがノックする音が聞こえて・・・。


万理香は、身を強張らせてドアに視線を向けた。


誰・・・?!
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