Kiss of a shock ~涙と~
パァァン

勢いよく、頬を叩いた音が響いた。

打たれたのは、陣内。

打ったのは、健二だ。

陣内は、黙ったまま目を伏せてかけられる言葉を待っている。

それを見て、健二は小さく呟いた。

「勝手なこと・・・してるんじゃないよ。」

陣内から報告があったのは・・・知らないカップルが万理香を助けた事。

そして、何より、陣内が勝手に万理香を襲わせたこと。

「誰が、あいつを他の男に襲わせろって言った?」

陣内はゆっくりと顔を上げる。

口の中が切れたのか、唇から血が顎を伝う。

「すみません。」

「万理香にすることは全部俺の指示でやる。お前は俺の秘書だ。出すぎたまねをするんじゃないよ!」

言われた言葉に、陣内は健二の顔を見つめ返した。
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