Kiss of a shock ~涙と~
「おいっ!」

万理香は、ハッとして目を覚ました。

そこには健二がいる

「えっ?」

何でここに、ここは自分の部屋の中だ。

間違いない・・・なのに、何故かの健二だ。

「馬鹿!鍵が閉まってなかったんだよ!」

「あ・・・」

そうか、あの女の人・・・が出て行ってから、何でか身動きできなくて、いつの間にかそのまま寝てしまっていたの?

「無用心にもほどがあるだろ、馬鹿!」

びくりと万理香

健二がこんなに怒るところなんて見たことがない

「ご、ごめんなさい」

健二は万理香の額に浮き出た汗を拭い囁く

「怖い夢、見た?」

・・・

思わず、万理香は目を背けた。

「何で顔をそらすの?」

何でって・・・

健二くんは直人さんの・・・兄弟なんだよね?

健二くんと直人さんの間には、私の知らない格差があって、仲たがいをしてて・・・私を欲しがってるのは、健二くん。

けど、それは愛してるからじゃなくて、きっと直人さんを見返したいから

だって、この人の瞳には愛なんて・・・

「帰って、くれますか?」

健二の顔を見上げて、恐る恐る言った。

「心配して来たのに、それかよ」

・・・

「それは、お礼を言います。けど・・・もうこんな時間だし」

時計を見ると深夜2時すぎだ。

こんな時間なのに・・・この人は飛んできてくれたんだ。

けど、それは・・・愛じゃない。

健二は、ぐっと拳を握り締めて、それから呟くように言った。

「どんな時間だって・・・俺には関係ない」
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