Kiss of a shock ~涙と~
俺は・・・

「昔、1人の女を自殺に追い込み、その女の子供を地獄に突き落とした。俺は、その罪を償わなけりゃならない。」

万理香は、言葉を飲み込んで俺の袖を掴んだ。

「お前が、好きだ。・・・そういう風に思うこともお前が好きだから抱きたいって思うことも、俺にとってはあってはいけない幸せだ。」

そうだ。

忘れてはならない。

あの時に約束しただろう。

もう感情を捨てるんだ。

ただ、この生をまっとうするためだけに無意味に生きるって。

「直人さん・・・」

万理香の手が頬に触れる。

その指が目じりをさすって、はじめて泣いているのだということに気がついた。
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