紅色に染まる秘密の恋(休筆中)
『…あんな河瀬を見るのは久しぶりだな。』
武内課長はポツリと呟いた後
ジッと2人を見ている。
既に定時を過ぎている為
帰宅した受付嬢の代わりに
受付席に座っている守衛さんも
河瀬さん達の姿をチラチラ見ていた。
この女性が河瀬さんの奥さんの
『さくら』さんなんだと確信した。
やがて河瀬さんが
課長と私に視線を向けた。
すると
さくらさんらしき女性も
私達に視線を向けた後
こちらに向かって歩いてきた。
そして私達の前で立ち止まると
『…武内課長、お久しぶりです。
いつも夫がお世話になりまして
ありがとうございます。』
と、課長にお辞儀をした。
『…いや、さくらさん久しぶりだな。
こちらこそいつも河瀬には
頑張って貰ってるよ。』
課長は顔を上げたさくらさんを見て
口角を上げた。
そんな課長の顔を見た瞬間
私の胸がチクッと痛んだ。
しかしそんな事を
課長も誰も知るはずもない。