紅色に染まる秘密の恋(休筆中)
後悔しても時すでに遅し。
時間が止まってくれる訳でもない。
狼狽えるなど無駄な行動のさなかで
ガチャガチャ…ガチャン”
慌てて玄関と鍵が閉まる音がして
廊下を早足で歩く足音が近づき
リビングのドアが開き
『…紅(べに)!!気分はどうだ!?』
入るなりバッグを置いて
何かが入ったビニール袋を
テーブルに置いた《りとさん》が
私の元へと駆け寄って来た。
「……えっ、あっ…その。
お、おかえり…なさい。」
私は狼狽えたままながら
とりあえず挨拶をして出迎えると
『……おい!!顔色が良くないぞ。
本当に大丈夫か、紅…。
やっぱり……今も怖いか?
それとも
河瀬やさくらさんに緊張したか?』
彼の目には私がまだ怖がっていると
映っているように見えるのか
それとも河瀬さんとさくらさんに
緊張していたと思われているのか
りとさんは私の両肩に手を置くと
心配そうに私の顔を覗き込んだ。