紅色に染まる秘密の恋(休筆中)
チラリと後ろを振り向くと
課長と同じく喫煙の為に席を立った
先輩社員の小金澤(こがねざわ)さんが
煙草の箱を片手に苦笑いをしていた。
「…小金澤さん。
お騒がせしてすいませんでした。」
私は力なく微笑んだ。
実際に頑張ったつもりだったし
自信はあったけど
突き返されてしまった企画書と
課長に言われた言葉が
心にグサリと刺さった。
他の部署で私と同期入社の人達は
既に即戦力として活躍している。
先月に工場勤務から企画開発課に
異動したばかりの河瀬さんも
まだまだ新人さんで
毎日赤羽主任の元で指導を受けている。
でも、元営業1課出身だった事もあり
頭がいい人で飲み込みも早いらしい。
だけど私は
いつも課長を怒らせてばかりで
『坂口と城咲はどんぐりの背比べ』と
周囲にからかわれたりして
こうして針の筵状態になってしまい
進歩していないような気がする。
多分、私や坂口君はすぐに
河瀬さんに抜かれてしまうかもしれない。