紅色に染まる秘密の恋(休筆中)
それから数ヶ月後
母の美沙子はいつものように
綺麗な格好をして家を出たまま
城咲家に帰ってくる事はなかった。
私が4歳、両親が38歳の時だった。
『ごめんな、紅羽。
お母さんはお仕事で
遠くに住む事になって
お家に帰って来れなくなったんだ…。
でも、お父さん…頑張るから…。
お母さんの代わりに…頑張るから
帰りが遅くならないように
休みの日は紅羽がいっぱい遊べるように
頑張るから…ごめん…ごめんな…。』
と、父が私を抱き締めて涙を流した時や
『…なあなあ。
お前んちの母ちゃん出てったんだろ?
“リコン”とか言うのをしたんだろ?
俺んちの母ちゃんが言ってたぜ!!』
と、通っていた保育園のクラスの
男の子達にそう言われた時
『“リコン”…離婚』の言葉の意味は
当時まだ良くわからなかったものの
多分それはいい言葉ではなく
悲しい言葉じゃないかと思った事や
母はもう二度と帰ってこない。
もう3人では暮らせない。
父と母との間にきっと
何かがあったんだと言う事だけは
何となく理解は出来ていた。