紅色に染まる秘密の恋(休筆中)

それから数ヶ月後

母の美沙子はいつものように

綺麗な格好をして家を出たまま

城咲家に帰ってくる事はなかった。

私が4歳、両親が38歳の時だった。


『ごめんな、紅羽。
お母さんはお仕事で
遠くに住む事になって
お家に帰って来れなくなったんだ…。
でも、お父さん…頑張るから…。
お母さんの代わりに…頑張るから
帰りが遅くならないように
休みの日は紅羽がいっぱい遊べるように
頑張るから…ごめん…ごめんな…。』

と、父が私を抱き締めて涙を流した時や

『…なあなあ。
お前んちの母ちゃん出てったんだろ?
“リコン”とか言うのをしたんだろ?
俺んちの母ちゃんが言ってたぜ!!』

と、通っていた保育園のクラスの

男の子達にそう言われた時

『“リコン”…離婚』の言葉の意味は

当時まだ良くわからなかったものの

多分それはいい言葉ではなく

悲しい言葉じゃないかと思った事や

母はもう二度と帰ってこない。

もう3人では暮らせない。

父と母との間にきっと

何かがあったんだと言う事だけは

何となく理解は出来ていた。
< 52 / 58 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop