紅色に染まる秘密の恋(休筆中)
母が出て行ったまま帰らなくなって
3年が経とうとした時
私は父からあの時離婚していた事を
ようやく聞かされた。
『離婚』の二文字とその意味を
4歳ではさすがに知らなかっただけで
あの時の父の涙と
保育園で男の子達に言われて
既に両親の仲を察知していた為に
あまり驚きを感じなかった。
ただ、母が
今どこで何をしているのか
なぜ離婚しなければならなかったのか
あの時母は綺麗な格好をして
一体どこへ出かけて行ったのかとか
聞きたい事は山ほどあったものの
母と離婚してから毎日一人二役をして
担当授業数を減らしてでも
無理をしてでも家事育児に奮闘して
私に向き合って育ててくれていた父に
母の近況を聞いちゃいけない気が
ずっとしていた事や
もし聞いてしまったら
父がきっとまた涙を流して
私に謝るんじゃないかとか思うと
聞きたくても聞いちゃいけないんだ
困らせちゃいけないんだと
泣かせちゃいけないんだと
思うようになった私は
母の話は胸に仕舞い込み
もうそれ以上の事を
父に聞くのはやめようと決めた。