はじまりのアリス


カタカタッ……ガタガタガタッ!!

突然、地響きのように美術室が揺れた。


棚やテーブルから物が一斉に床へと落ちて、壁にかけられている額縁の絵も次々と落下していく。


「美織……っ」

俺は姿勢を低くして美織の頭を守った。

これは自然現象ではない。

あの死神からとてつもない怒りを感じる。


「有栖川……っ。お前、有栖川なんだろ?」


再び問いかけると次は天井の電気がパンッ!と割れて、その破片がパラパラと落ちてきた。


「潤、怖い。怖いよ私……」

「大丈夫。俺がいる」


このままじゃ美織がケガをする。

だけど鍵があそこに……。


近づこうと足を一歩踏み出すと今度はキーンッという耳鳴りのようなノイズ音。

まるでそれは死神の声のようで、ぐわーっと押し潰されそうな音の重力。

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