はじまりのアリス
諏訪野の身体からはドクドクと血が溢れていて、よく見ると背中や胸に切り刻まれた跡があって、腹には深く包丁が刺さったまま。
「諏訪野、お前……」
「あいつら部位のくせに武器まで器用に持ちやがってさ……っ……」
包丁で刺された血は一瞬で座っている場所を赤く染めて、暗闇なのに足元の色がはっきりと分かるほどに。
「諏訪野くん!なにか私にできることはない?
まずその血をなんとかしなきゃ……どうしよう、どうすれば……」
美織が完全にパニック状態。
「じゃあ……水を。喉がカラカラなんだ」
「水ね!すぐそこに水道があるからちょっと待ってて!」
美織はハンカチを握りしめて、近くの水道へと走った。