はじまりのアリス
「西……」
そう、行方が分からなくなっていた西だった。
西は誰かに操られてるようにまだゆらゆらとしていて、ガッ!とまた江口に襲いかかった。
「や、やめろ……、やめて。やめてくださいっ……」
江口は腰が抜けて廊下を這いつくばっている。
西はその背中に刃物を突き刺して。抜いては刺して抜いては刺しての繰り返し。
それを5回したところで江口は動かなくなった。
そこはまた血の海。
獲物がいなくなったように西の顔が諏訪野に向いた。
だけどバットを思いきりフルスイングすると、それは鈍い音を響かせて西の頭に当たって、西もその場に倒れて動かなくなった。
静けさを取り戻した廊下。
発狂しそうなほどの恐怖。
夢なら醒めろ。醒めてくれ。
そう願っても、江口の身体から流れてきた血が俺の足元で止まる。
これは現実なんだ。
アイツを見つけないと……。
本物のアリスを見つけないとこの連鎖は終わらない。