極道に愛された、氷と炎の女の物語。(仮)
吉原
3年前の冬、私がこの吉原に入った時はすでに、人間不信になっていた。
ボロボロの服で吉原の入口門を通った時、私はもうここから出られないと素直に思った。
門の内側に足を踏み入れる前にもう一度後ろを振り返る。
もう、二度と振り返ることはできないだろうから…。
私は借金を返すために入った。
ちょっとやそっとじゃ、払えない巨額の借金。
まだ、中学生だった私は裏方の仕事に回された。
そこでの仕事はとても辛かった。
夜早くから朝遅くまで働き、遊女たちのご飯を作る。
過労で倒れることなどしょっちゅうだった。
でも…
それでも、ちいさな希望を持ち続けた。