極道に愛された、氷と炎の女の物語。(仮)
二人暮し
剛は、震えている私を抱きしめながら、頭を撫でていてくれた。
私の頭を撫でている反対の手はすごい勢いで握りしめられていてかすかに震えている。
「私、ずっと…ずっと寂しかった。」
「ああ。」
「私を私と見てくれる人はいなかった。
諦めてたの。人間として生きるという事を…
だけど、だけど…こんな私をあなたは買ってくれた。
何よりそれが嬉しかった。
俺の家に住むか?と聞いてくれた時は本当に嬉しかった。
でも、やっぱり貴方も私を道具としてしか見ていなかった。」
弱々しい声が出た。
頑張って張っていた声。
最後は涙が出て剛が聞き取れたかはわからない。