極道に愛された、氷と炎の女の物語。(仮)
傷は胸に長く深く付いている。
ナイフで切ったものだ。
その傷の周りは赤く、ところどころ紫色になっている。
大丈夫なのか。
携帯で検索したら病院に行ったほうがいいらしい。
この体で病院に行くのは不可能。
救急車だと組員に気づかれる。
でも、そんなの気にしてたら剛が…
「琴葉…?」
「剛?起きたの?寝てていいよ。」
私がそう言うと
「病院に…は…行かない……。本…当にヤバくなったら…これ…に電話しろ。」
剛から渡された手紙には電話番号。
かすれた声。
でも、ちゃんと聞き取れた。
私は、頷く。
その後、剛は気を失ったり痛みで起きたり、目が離せなかった。