純愛リハビリ中

「さっきの感じだと、連絡はあるはずだよ」

「そうですかね?」

「そうだよ。それに……昼間のデートでも、立派な狼に変身されるかもよ?」


マスターが意味ありげな顔で悪戯に微笑んだ。油断禁物だと言いたいのだろう。


「いやいや、ないでしょ。戸羽さんは見るからに、草ばっかり食べてる草食系な感じがしませんでした?」

「は? まったくしなかった! 咲羅ちゃんは男をわかってないな」


あきれた溜め息と共に、マスターはダメだとばかりにフルフルと首を小刻みに振っている。

マスターの言う通りで、わかってないから私は今まで失敗続きだったのだ。

私に男運がなく、自信を持って恋愛だと呼べるものから遠ざかっているのは、そこに原因があるように思う。


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