純愛リハビリ中
Treatment Ⅶ
戸羽さんと別れてホームで電車を待つ間、私はバッグからスマホを取り出して、先ほど斗夜から来たメッセージを眺めた。
まだ返事をしていないことに気づき、既読無視はまずいと、あわてて文章を打ち込む。
『今から電車に乗って帰ります』
電車に乗り込む前に、送信ボタンを押した。
文章が短くて不愛想だっただろうか。
車両の中は、けっこう混みあっていて蒸し暑く、嫌な空気だった。
最寄駅に着いてホームに降り立つと、ザーっと大粒の雨が空から落ちてきていてガックリと肩を落とした。
戸羽さんと別れたときも、今にも降りそうな感じで真っ暗だったから、心配した通りになってしまった。
濡れて帰るには勇気が要るくらいの強い雨だ。
仕方がないので、駅に隣接するコンビニに立ち寄り、ビニール傘を購入した。
こうしていつの間にか家に傘が増えていく、などとぼんやりと考えながら自宅アパートまで歩みを進める。
雨は止むどころか、さらに勢いを増しているのだと、アスファルトに強く打ち付ける雨粒を見て思った。