純愛リハビリ中
だけど、この人の器量不足で、泣く女の子がたくさんいるなら話は別になってくる。
できれば上手に別れていてほしいなと考えたところで、私にはまったく関係のない事柄だと思考を止めた。
「君、面白い子だね」
半ばあきれるように、男性が柔らかく笑う。
「そうかな?」
「作った感じがなくて自然体だよ」
たしかになにも作ってはいない。
ブリっ子をしたり、誰かに媚びることを、私は一番苦手としている。
「君とはまた会えそうだね」
「さぁ? それこそ今夜限りかも」
「君はこの店の常連だろ? だったらまた偶然会えるかも。俺もここに来る機会は増えるだろうから」
そこは逆らわず、「そうね」と曖昧に笑って大人な対応をしておいた。