純愛リハビリ中
「じゃ、俺はお先に」
男性が長い脚を床に降ろし、スラリと立ち上がる。
「またね。“サラちゃん”」
艶のある低い声で名を呼ばれ、一瞬で心臓がギュっと縮んだ。
なぜ私の名前を知ってるのか不思議だったが、すぐにその答えがわかってしまった。
本城が私をそう呼んでいたのを、聞かれてしまっただけのことだ。
驚かせないでほしい、と心の中でつぶやく。
私もこれを飲んだら家に帰ろうと、目の前のグラスを見つめた。