純愛リハビリ中

改めてマスターに本城との騒ぎのことをお詫びし、お会計をしてもらおうとその旨を伝えたが、マスターはなぜか支払いは要らないと言う。


「斗夜が自分の分と一緒に払ったから大丈夫」

「え?! それはダメですよ」


斗夜とは、先ほどの男性だ。
確かマスターがそんな名前で呼んでいたと思う。


「ダメって言われても、斗夜からもう貰っちゃったしね」

「でも……」


たまたまここで会っただけの人に払ってもらうのは申し訳なさすぎる。


「まぁ、今日はいいんじゃない? その代わりまた飲みに来てよ。待ってるから」


マスターのにっこりとした笑みに押されてしまい、私はごちそうさまでしたと告げて仕方なく店を出る。


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