純愛リハビリ中
「イケメンだったらいいよね」
フフっとなにかを期待したような笑みをたたえつつ、同じ営業三課の事務で同期の安西 史香が私と重森の会話を聞いて絡んできた。
史香は私と気が合うので仲良くしてくれている。
私が社内で軽い女だと妙な噂を流されても、気にしないで付き合ってくれている奇特な人間なのだ。
「まぁね。目の保養にはなるよね、イケメンは」
私はたいしてそうは思っていないけれど、史香に同調しておいた。
どうせならイケメンのほうがいい、というのは大多数の女子の意見だろう。
「あのなぁ、イケメンだったら俺で十分じゃないか?」
重森が私たちに胸を張るように言ってくるのを横目で見て、ありえないとばかりに首をブンブンと横に振り続ける。
重森も世間一般的にはイケメンなので、そこまで否定するほどではないのだけれど、褒めると調子に乗らせてしまうから。