純愛リハビリ中

「俺は彼女たちのこと全員を好きだと思ってたし、一番とか二番とかなく平等だと思ってたけど。そうじゃなかったのかな、って今となっては思うんだ」


水滴の付いたグラスを持ち上げ、クイっと口に含ませる姿がカッコいいなと、目を奪われてしまった。


「好きなようでいて、実は全員に本気じゃなかっただけなのかも……って」


せっかくこれだけカッコいいのに、している話の内容は最低だ。
八木沢さんに泣かされてきた女の子たちを気の毒に思った。


「だから、ちゃんと本気で恋愛ができるように、その感覚を変えていきたい。こんな俺でもそうなれるようにしたいんだ」


どうして急にそれに気づき、今までの自分を変えようと思ったのか、その理由はわからないけれど、八木沢さんは緩慢に笑って自分の思いを話してくれた。


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