純愛リハビリ中

「大人になるにつれ、純粋だった頃の気持ちをついつい忘れちゃうもんだよね。適当に気の合った相手とくっ付いたり別れたり。もちろんする事だけはして」


マスターは、一般論を言っているのだろう。
八木沢さんや私のことも含まれているとは思うけれど。


「だからね、俺も咲羅ちゃんが一緒にリハビリするのは賛成。ていうか、コイツと一緒にいろいろ考えてやってよ」


八木沢さんに視線を移すと、綺麗な顔で優しく微笑んでいる。

真剣な恋のやり方を思い出すために、一緒にリハビリするもいいかもしれない。


「中学生とか高校生のとき、咲羅ちゃんは彼氏とどんなデートした?」

「なんですか、急に……」

「俺はね、帰りに彼女と一緒にファーストフード行ったりしたな。学生だから金がないしね、休みの日に映画に行くので精一杯だったな」

「……私もそんな感じでした」

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